抄録
ダイアポジンはコガタルリハムシ(Gastrophysa atrocyanea)の長期(約10ヶ月)にわたる内因性成虫休眠の休眠期に特異的に出現するペプチドである.現在までの構造および機能解析の結果,システインを6個含む41残基のアミノ酸残基からなり,in vitroにおいて糸状菌に対する発育抑制および,巻き貝(Conus)由来の毒素(omega-Conotoxin GVIA)と同様のN-type Ca2+ channel ブロッカーとしての活性を持つことがあきらかとなっている.また本ペプチドは,バキュロウイルスゲノム由来のコノトキシン様ペプチドと同一のシステインの配列を示し,さらにイリドウイルスゲノムに含まれるORFと高い相同性を示す.本研究においては,ダイアポジンの機能解析および新規機能性ペプチドの利用を目的として,カイコ細胞質アクチンのプロモータを組み込んだダイアポジン遺伝子をpiggyBac由来のベクター(pBac[3xP3-EGFPafm])を用いてカイコw1-pnd系統に導入した.その結果,蛍光を発する9つの蛾区を得た.