抄録
バキュロウイルス発現系を用いて昆虫及び昆虫培養細胞内で発現させたタンパク質は、昆虫型の糖修飾を受けるため哺乳動物とは異なった糖鎖構造を持つ。そのためこの発現タンパクをヒトの病気、疾患等の治療薬として利用することができないという欠点を持つ。そこでバキュロウイルスAcNPVとトランスポゾンpiggyBacを併用した形質転換法を用いて、複合型(哺乳類型)の糖鎖付加を行えるカイコの作製を試みた。
piggyBacのITR間にIE1プロモーターと複合型糖鎖付加に必要な糖転位酵素、beta1,4-galactosyltransferaseのcDNAを持つ組換えベクターウイルスとpiggyBacの転移を促すヘルパーウイルスをカイコに同時に接種し、飼育を続けた。得られた次世代カイコから導入遺伝子を持つ個体の選抜を行い、beta1,4-galactosyltransferase遺伝子をカイコゲノムのフィブロインH鎖内に持つ個体を得ることができた。この個体をF3世代まで飼育を続け、そのうち一部のカイコに組換えバキュロウイルスを接種し、タンパク質を発現させた。この発現タンパクを回収し、現在糖鎖構造の解析をレクチンブロットにより行っている。