抄録
Bombyx moriフィブロインタンパク質の後部絹糸腺での大量産生は、組織特異的な遺伝子発現機構による。フィブロインH鎖遺伝子の転写制御因子の候補タンパク質fibroin-modulator binding protein (FMBP1)が後部絹糸腺から同定された(滝谷ら1997)。FMBP1は291残基からなり、C末端側約半分に特徴的な23アミノ酸残基が4回繰り返すDNA結合ドメインをもつ。このドメインと相同性の高い他のゲノムシークエンスはいまのところ報告されていないが、同様の繰り返し構造が線虫、ショウジョウバエ、ヒトに保存されていることがわかった。また、N端側は弱いながら植物の転写制御因子との類似性が見られたが、転写制御因子としての分子機構は十分解明されていない。本研究では、FMBP1の立体構造を核磁気共鳴(NMR)法で解明することを目的とした。本発表では、DNA結合ドメインのモデルペプチドを作製し、DNA結合等による局所的コンフォメーション変化を1H-NMR測定および円二色性(CD)測定から検討した。