抄録
昨年度はトランスポゾンpiggyBacをベクターとする形質転換カイコ作出法の改良について報告し、効率が非常に良くなったことを示した。その後、多くの遺伝子がこの手法によってカイコに導入され、遺伝子機能の解析や絹糸腺による組み換えタンパク質の生産に有効であることが明らかにされている。今年度は導入できる遺伝子の大きさと導入効率の関係について、予備的な実験を行ったのでその結果について報告する。 最初にプラスミド間での転移活性を見る方法を利用して挿入遺伝子の大きさと転移頻度の関係を調べた。遺伝子の大きさが1.6kbと9kbの比較では、後者は前者の約1/8の転移頻度であった。また、この中間の4.5kbや5.2kb、6.5kbの場合は1.6kbが挿入されたベクターに対し、それぞれ2/3、1/5及び1/3であった。次に、実際に形質転換カイコを作って調べたところ、この場合においても挿入遺伝子の大きさが大きくなるにつれて形質転換カイコが作出される頻度が低下する傾向がみられた。以上の結果から、挿入遺伝子の大きさの影響は大きく、遺伝子が大きくなるにつれて効率は低下するものと判断された。