カイコのEST化したcDNAクローンのRFLPを用いた分子遺伝子地図の作成が昆虫ゲノム研究チームで進められている。その過程において、効率的な連関検索法とマッピング法さらにはマッピングの為のソフトが開発され、DNAマーカーのみならず様々な形質の解析への応用も行われている。さらには、我々はカイコ保存系統におけるBT毒素CrylAbに対する抵抗性の解析を行い、保存系統401号が持つ抵抗性に関して遺伝解析を進めてきた。今回はこの遺伝子の分子遺伝子地図上における座位決定を行った。これまでに、保存系統401号が持つ抵抗性は劣性の1遺伝子が支配していること、さらにはSLA法による解析でこの遺伝子が第15連関群に所属することを報告した。今回は座位決定のためにこの抵抗性遺伝子をホモに持つ401系統と感受性系統のF1オスに401系統の雌の戻し交雑を行い5つのBF1区を遺伝解析に用いた。すなわちこれらのBF1区において、BT毒素摂食により抵抗性遺伝子をホモに持つ個体を選抜し個体別DNAを調製することにした。さらにこれらBF1区の親のDNAを調製し、この第15連関群のcDNAクローンを用いてどの蛾区が最も多くのクローンをマーカーとして用いることができるかを調べた。その結果10クローン中9クローンがマーカーとして利用可能な交配区があった。そこで、この区の84個体の個体別DNAを用いて座位決定を行った。