日本蚕糸学会 学術講演会 講演要旨集
日本蚕糸学会第72回学術講演会
会議情報

遺伝子マッピングソフトBCMAPの改良
原 和二郎門野 敬子小瀬川 英一間瀬 啓介
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 147

詳細
抄録

我々はカイコのcDNAクローンのRFLPを分子マーカーとして用いた地図の作製を進め、さらには分子マーカーの直接的な利用、あるいは地図製作過程に開発した手法の利用による品種同定あるいは様々な形質の遺伝解析を図っている。すなわち、ヘテロメスとホモオスの交配によるBF1の同一個体群におけるジェノタイプ解析により、共優性形質であるRFLPを用いて、cDNAクローンの連関検索を行うSLA(scanning linkage analysis)法を確立した。つぎにはSLA法で連関検索を行ったcDNAクローンを逆交雑の100個体を繰り返し用いる三点法の繰り返しにより座位決定を行い、それを自動的にパソコン上で作動させるソフトウエアBCMAPの開発を行った。このマッピング法はウイルス病抵抗性のNid-1やnsd-2さらには食性異常の遺伝子のマッピングを可能とした。このように共優性を示す分子マーカーを用いると、これまでは座位決定ばかりか連関検索も困難な対象の解析が可能となった。そこで次にカイコで用いた手法等の他の生物への応用を可能とすることも検討した。まず、これまでに得たデータを用いて、mapmakerにおいてと同様、近接したあるいは極めて小さい交叉価を示すものを連続的に同じグループとするためのソフトを開発し、各クローンが同一染色体上にあるか否かをBCMAPで確認することが可能かを検討してみた。その結果、グルーピングソフトで交叉価を設定すると、一定の数値以下では正しい群を設定可能であること、さらにその群が同一グループであるか否かはマッピングシフトBCMAPで正しい交叉価を示すか否かで、確認することが可能であることがわかった。このソフトをBCMAP IIと名づけた。

著者関連情報
© 2002 社団法人 日本蚕糸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top