日本蚕糸学会 学術講演会 講演要旨集
日本蚕糸学会第72回学術講演会
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休眠又は非休眠卵産生カイコの中枢神経系で特異的に発現する遺伝子の探索
光増 可奈子新美 輝幸山下 興亜柳沼 利信
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p. 47

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抄録

カイコ胚の休眠性は、母蛹の食道下神経節より分泌される休眠ホルモン(DH)の卵巣への作用によって決定される。2化性系統では、DHの合成·分泌は母世代の卵期の環境条件に影響される。ここでは、DHの合成·分泌に関与する因子を同定することを目的とし、休眠又は非休眠卵産生カイコの脳-食道下神経節で特異的に発現する遺伝子の単離を試みている。これまでに、休眠又は非休眠卵産生として運命づけた母蛹の脳-食道下神経節(Br-SG)より調製したcDNAを鋳型としてSABRE法やPCR-Select法によるサブトラクションを行ってきたが、未だタイプ特異的に発現している遺伝子を単離するには至っていない。しかし、その過程で脂肪体、中腸、卵巣等ではほとんど発現が認められないが、脳-食道下神経節特異的に発現する遺伝子K5を単離している。この翻訳産物の中枢神経系に於ける機能も興味深いので、K5 cDNAの全配列の決定を進めている。又、休眠·非休眠卵産生間の遺伝子発現の差異をより高感度で検出する為に、幾つかの改良を試みている。まず、特異的なバンドの検出感度とゲル上でのバンドの分離能を改善する為、サブトラクション後のPCR増幅産物をRIで標識し、シーケンスゲルでの電気泳動による解析を行っている。更に、これまでは蛹化後1日から3日のBr-SGをサブトラクションに用いていたが、蟻蚕等の種々のステージを用いることも検討している。

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© 2002 社団法人 日本蚕糸学会
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