日本教科内容学会誌
Online ISSN : 2189-2679
人形浄瑠璃を教材とした音楽科の学習過程にみる教科内容の関連
「傾城阿波の鳴門」《順礼歌の段》鑑賞の場合
鉄口 真理子
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2025 年 11 巻 1 号 p. 133-144

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抄録
本研究の目的は,人形浄瑠璃を教材とした音楽科の学習過程にみる教科内容の関連を明らかにすることである。まず,川北による阿波人形浄瑠璃「傾城阿波の鳴門」《順礼歌の段》の教科内容について整理した。次に,高等学校第1学年対象,先行研究および先行実践に基づいて構想,実践した鑑賞授業を分析した。分析では,授業の映像記録における生徒の発言や行動から,教科内容とその関連が読み取りやすい場面を時系列に抽出し,生成の原理に基づく音楽カリキュラムの3つの柱の関連を視点として分析した。その結果,学習者は、柱1(人と地域と音楽),柱2(音楽の仕組みと技能),柱3(音楽と他媒体)の内容をそれぞれ別個で経験し,柱2の知覚・感受を基に柱3の内容である人形の動きや物語の内容とを関連づけるという結論を得た。学習者による柱2と柱3の関連づけは音楽,人形の動き,物語が一体化した表現の味わいの深まりを示すといえる。
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© 2025 日本教科内容学会
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