モンテカルロ計算法のオージェ電子分光法 (AES) への応用として, プログラム作製上の基本的な考え方と, 我々のプログラムを使って試みたAESの背面散乱電子効果補正に関して解説した。まず, AESとEPMAの大きな違いが対象とする電子のエネルギー領域にあることを指摘し, AESで必要となる低速電子の散乱の記述のための理論的取扱いについて説明した。弾性散乱については部分波展開の方法を使った量子力学的な取扱いをのべ, 非弾性散乱については今後の利用が予想される誘電関数を使った方法についても簡単に紹介した。また作製したモンテカルロプログラムの定量オージェ分光法への応用として, 背面散乱電子効果の補正計算に使用した例を実験との比較と併せて説明した。