抄録
教職員が児童虐待に関する知識と理解を深め,適切に対応できる力量を身に付けることは,児童虐待の早期発見と早期対応において栖めて重要であり,その力量向上に教職員研修は欠かせない. しかし,教職員が児童虐待について研修する機会は決して多いとはいえず,その在り方についても十分検討されているとはいえない.
本研究は,小・中学校の教職員を対象に児童虐待の早期発見・早期対応に向けた教職員研修の実施とその効果測定を行い,研修の有効性を検証するとともに,今後の教職員研修の枠組みを探る実践的且つ基礎的な研究を行った.
その結果,研修後に教職員の児童虐待対応自己効力感の下位尺度得点が上昇し,実施した研修の有効性が確認された.また,校種別,職階別,児童虐待の研修歴別の分析結果から研修効果に特徴がみられ,管理職と教諭等ではその職能に応じた研修を行う必要性や複数回の研修を継続的に受講することの必要性などが明らかとなった.