抄録
近年の山積する学校現場における課題解決のために,2008年よりスクールソーシャルワーカー(ワーカー)調査研究事業が開始された.その際,学校現場で「異職種」がよりスムーズに活動するための条件を検討するために,「教員文化」をキーワードに先行事例としてスクールカウンセラー(SC)事業補助を概銀した.SCが学校現場に導入されて14年経過するなかで,SCや現場の教員の声からは,お互いの専門性や価値観などの相違による軋礫がみられ,まずは両者間のラポール形成が重要であることが示唆された.ワーカーについてもSC導入と似たような状況が予想されることから,ワーカーがよりスムーズに活動していくために学校の特性や「教員文化」といわれる教員の特徴を,事前に理解・学習しておくことや,そのような資質を高める養成課程の考案・開発が求められること,さらにワーカーの処遇改善の必要性などについても考察した.