1993 年 10 巻 1 号 p. 1_41-1_50
本論文では,オブジェクト指向システムで,インスタンス生成をデータの実体の生成とクラスの付与という二つのステップに分離して行なうシステムを記述し,さらに,分離したことにより生じた記述力も説明する.この分離により,データの振舞いを規定するクラスを定義するまえにデータを生成できる.さらに,あとからデータの振舞いを詳細化すること,たとえば,定義や構成要素を追加していくことなどが可能となる.このような,インスタンス生成のプロセスを分離したことによる効果を記述するとともに,言語システムとしての機能を述べ,実現の正当性も論じる.