コンピュータ ソフトウェア
Print ISSN : 0289-6540
正規表現とプロセス計算に基づく通信プロトコルコンパイラ
服部 健太数馬 洋一
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2007 年 24 巻 3 号 p. 3_127-3_140

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抄録

近年,インターネットの普及と利用の高度化にともなって,通信プロトコルを実装する機会が多くなってきた.通信プロトコルは主として(1)メッセージの形式と,(2)メッセージ送受信の手順から規定されるが,通信プロトコルを実装するプログラマは,これに応じて,受信メッセージの解析や送信メッセージの組み立て,タイムアウトや非同期入出力といった処理を書く必要がある.これらはある程度,定型的な処理ではあるが,比較的煩雑なコーディングを必要とするため,結果としてプログラムの保守性を低下させたり,バグの原因となりやすい.本稿では,通信プロトコルの記述から自動的にプロトコル処理コードを生成するPreccsコンパイラについて説明する.Preccsではメッセージの形式を正規表現を独自に拡張した記法によって,また,メッセージの送受信手順はプロセス計算に基づいた記法によって記述を行う.Preccsコンパイラはこれらの記述からプロトコルの処理を行うCのコードを自動的に生成する.これによってプログラマは煩雑なコーディングから解放され,信頼性や保守性に優れた通信プログラムを短期間で開発することが可能となる.

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© 日本ソフトウェア科学会 2007
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