抄録
食物網は生態系における捕食-被食関係を描いたネットワークであり,これらのネットワークのトポロジーを考えることで生態系全体の構造と機能を明らかにすることが生態学の1つの基本的課題となっている.そこで,実際の生態系において確認されているネットワーク構造の基本的な特徴のみを用いた単純な進化モデルを用いて,栄養段階における特性が食物網のトポロジーやダイナミクスにもたらす影響を調べた.実験の結果,生態系ネットワークに現れる特徴と定量的・定性的な一致を示し,ネットワーク構造の生成メカニズムの一部を示すことができた.