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Print ISSN : 0289-6540
DNSグラフ上でのグラフ分析と脅威スコア伝搬による悪性ドメイン特定
風戸 雄太福田 健介菅原 俊治
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2016 年 33 巻 3 号 p. 3_16-3_28

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抄録
本研究では,DNS (Domain Name System)のクエリ回答結果から作成したドメイン名・IPアドレスをノードとする2部グラフ(DNSグラフ)を用いて,グラフ内に存在する未知の悪性ノードを検出する手法を提案する.キーとなるアイディアは,事前に与えられた良性・悪性ドメインを含むグラフコンポーネントにおいて脅威確率伝搬(Probabilistic Threat Propagation)を用いることで,良性・悪性ノードに「近い」ノードをそれぞれ良性・悪性と推定する点にある.大規模バックボーンネットワークで得られたDNSクエリデータを用いたDNSグラフでは全ノードの約69%が1つの部分グラフ (コンポーネント)から構成されることがわかった.また,このDNSグラフに提案手法を適用したところ,低い誤分類率で悪性なドメインを検出でき,オリジナルの脅威確率伝搬手法と比較して9%,既存の他の手法と比較して40%の精度向上を実現した.さらに,DNSグラフ上の未知のノードを提案手法で推定したところ,危険性の高い未知なドメインを新たに2,170個検出することができ,DNSグラフを可視化することで推定した悪性なノードが関わるグラフ構造を明らかにした.
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© 2016 日本ソフトウェア科学会
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