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Print ISSN : 0289-6540
トンネリング技術を用いた汎用機器によるデータセンターマルチパスの実現
中村 遼石原 知洋関谷 勇司江崎 浩
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2016 年 33 巻 3 号 p. 3_29-3_43

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抄録

データセンター内における通信量は日々増加しており,ネットワークの可用性とスループットの向上が大きな課題となっている.そこで,データセンターネットワークにおけるマルチパスを用いた効率的なデータ配送手法について多くの研究が行われてきた.しかし,既存研究の多くは,ネットワークスイッチのハードウェアに対して変更を加える必要があり実環境への適用性に欠けるという問題がある.そこで本研究では,IPトンネル技術を用いた特定パスへのトラフィック配送手法を拡張することで,コストや障害時のスループットにおいて優位であるランダムグラフトポロジのデータセンターネットワークを汎用機器のみを用いて構築する手法を提案する.本提案手法は,ネットワークスイッチには変更を加えず,サーバのネットワークスタックへの小さな変更のみで実現される.また,現在一般的に利用されているOSPFを用いた自動設定と障害復旧を行うシステムの設計と実装を行った.そして,シミュレータを用いた評価と実機を用いた実験を行い,提案手法がネットワーク全体の通信量の向上と高い可用性を汎用機器のみで実現可能であることを示した.

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© 2016 日本ソフトウェア科学会
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