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Print ISSN : 0289-6540
Fregelコンパイラにおける不要な値送受信の削減
加藤 直斗岩崎 英哉
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2019 年 36 巻 2 号 p. 2_28-2_46

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抄録

近年,大規模グラフを分散並列処理する需要が高まっている.頂点主体並列グラフ処理モデルとしてPregelが提案されたが,ユーザがメッセージ送受信や頂点の非活性化を手続き的に記述する必要があり,煩雑で分かりにくいという問題点がある.Fregelは,頂点主体並列グラフ処理を行うプログラムを記述するための領域特化言語であり,各頂点の計算を宣言的に関数として定義し,簡潔で見通しの良い記述を可能とした.Fregelのコードは,コンパイラを通してGiraphや Pregel+ 等のコードへと変換されるが,現状のコンパイラでは出力されるコードの最適化が不十分でオーバーヘッドが大きいという問題点がある.本論文では,メッセージに対する操作に最適化が可能な代数的性質があるかを判定し,可能な場合に,メッセージ送信の削減・状態の非活性化等の最適化を施すように,Fregelコンパイラを拡張した.実験の結果,手書きのプログラムと比較し,実行時間が1.3倍未満に収まるようになった.

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© 2019, 日本ソフトウェア科学会
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