2022 年 39 巻 4 号 p. 4_61-4_74
製造業の機能検査用ビジュアルプログラミングツールSmrAIを開発し,既存のプログラム資産をScratchのブロックでラップするというアプローチが製造業の品質管理分野におけるプログラミング人材不足の解消に有効であるかを調べた.SmrAIはScratchのブロックをRubyコードに変換する機能を持つスモウルビーをベースにしており,既存の機能検査用Rubyライブラリをラップした2種類のブロック群が新たに実装されている.既存のツールやライブラリを活用したため,SmrAI開発の作業コストは低く,さらにSmrAIの導入に伴う機能検査工程の変更はない.検査工程に精通しているがプログラミング経験に乏しい被験者に対して実証実験を行ったところ,被験者がSmrAIを用いてプログラミングできることやSmrAIの業務利用を支持することが確かめられた.この結果は本アプローチが機能検査プログラミングを担う人材の多様化と増加に寄与する可能性を示すものと言える.