コンピュータ ソフトウェア
Print ISSN : 0289-6540
制約と言語
橋田 浩一
著者情報
ジャーナル フリー

1989 年 6 巻 4 号 p. 4_334-4_347

詳細
抄録

AI,特に言語にまつわる情報の部分性を扱うためのプログラミングおよび計算の方法は, (I)制約の内容は情報の流れから独立にプログラムされ, (II)計算とはそのようなプログラムの変換であり, (III)処理の対象は組合せ的な構造を持ち, (IV)計算はヒューリスティクスに基づいて部分的に行われるべきである, という4つの要請を満たす必要がある.これらの要請を満たす,依存伝播という方法を提示する.(I)と(II)により,依存伝播は,一種の制約プログラミングの枠組となる.この制約プログラミングの観点を言語に適用することにより,言語処理過程をさまざまな制約の統一的な処理として捉える枠組が導かれ,状況意味論などの最近の形式意味論のいくつかの性質が情報の部分性を扱う上で本質的なものとして位置付けられる.また,談話理解システムにおける依存伝播による質問応答の例を示し,そこでデフォルト推論や会話の含意の処理など,情報の部分性に付随すべき情報処理が自然に実現されることを例証する.

著者関連情報
© 1989, 日本ソフトウェア科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top