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Print ISSN : 0289-6540
項を扱う文脈自由文法への否定の導入
山下 義行中田 育男
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1991 年 8 巻 3 号 p. 3_263-3_280

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抄録

形式文法をそのままプログラムと見なすパラダイムを文法的プログラミングと呼ぶ.このパラダイムの表現力をより豊かにすることを直接の動機として,形式文法へ明示的な否定表現を導入することを試みる.特に本論文では列ではなく,項を扱うように議論を限定した場合について,否定記号を明示的に扱う文脈自由文法(CFG)を検討する.まずHerbrand世界の上の一階述語論理のモデル意味論および佐藤らによる論理プログラムの否定技法を参考にして,非終端記号,関数子およびいくつかの論理記号から構成される形式的体系を定義する.この体系ではたとえばHerbrand解釈,充足不能性などの基本概念が述語論理と同様に定義できる.否定を扱うCFGはこの体系の特殊な形式として定義される.これらの理解を通してCFGにおける否定技法が正確に理解できる.それによるとHerbrand世界の上に定義された任意のCFGからはそれと相補的な意味を持つCFGを導出できる.

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© 1991, 日本ソフトウェア科学会
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