1992 年 9 巻 5 号 p. 5_403-5_415
グループウェア(組織の協調作業を支援するシステム)の開発に伴い,様々なグループウェアを構築することのできる汎用ツールが開発されてきている.ところが,既存のツールには非同期通信に基づき,複数のユーザ間に跨る仕事の処理の流れを扱えるものはなかった.そこで我々はマルチエージェントモデルに基づくグループウェア構築ツールMicheleを提案する.Micheleのマルチエージェントモデルでは分散環境において協調作業を行なうユーザや協調作業で利用される知識や書類など,協調作業を構成する任意の要素をエージェントとしてモデル化することができる.しかも,ユーザ環境と呼ばれる概念の導入により,ユーザ間での仕事の処理の流れを表現することができる.本論文ではMicheleのマルチエージェントモデル,マルチエージェント記述言語MDL,分散環境に対応した実装,そしてMicheleを用いて実装されたアプリケーションについて説明する.