社会福祉学
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知的・精神・発達障害者を対象とした地域生活を目指す生活訓練事業の現状と課題 : 社会生活力を高める視点から
重田 史絵東海林 崇野中 猛
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2012 年 53 巻 2 号 p. 82-93

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抄録

障害者自立支援法の生活訓練事業は,社会リハビリテーションであり,自らが望む自立と地域生活での生き方を自らの力でできるように,社会生活力を高めることを目的とする事業といえる.この事業の支援実態を明らかにし,支援方法等のあり方を明らかにすることを目的として,5事業所25ケースに関する聞き取り調査等による調査研究を実施した.調査結果の分析より,各事業所では,きめ細かな個別の生活支援が実施されているものの,現行の事業期限では事業収入の不安定さ等により十分な職員配置ができず,社会生活力を高める支援に至っていないという実態を得た.また,地域生活を目指すうえで必要な社会生活力の支援項目として「精神科医療(服薬管理)」「セルフケア」「生活リズム」「病気・障害理解」「コミュニケーション」「就労」を得た.期限内に社会生活力の向上を目指すために,既存のさまざまなプログラムを実践活用するための研修の充実や,適正な実施のための資質を備えた職員の確保と配置の保障が必要であることが考えられた.

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© 2012 一般社団法人 日本社会福祉学会
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