抄録
従来,NPOの有益性に関しては,福祉サービス供給体制再編におけるサービス供給機能に焦点があたってきたが,近年,政府の「新しい公共」など公私関係を取り巻く制度的環境が変化するなか,ミクロレベルの政府との資源交換関係の枠を越えてNPOの社会的機能に着目する必要性が説かれるようになった.それは公的責任の追及や社会変革という社会的使命を担う社会福祉のNPOの場合,とりわけ重要な論点となってくる.本稿では「新しい公共」における市民的公共性をキーワードに,これまでの供給レベルにおける公私協働の議論を整理した後NPOの社会的機能について独自性を再検討し,(1)「福祉世界の回復」,(2)「対抗的公共圏」の形成,(3)「市民的専門性」の構築の概念から説明した.しかし,サービス供給機能と社会的機能の両立にはコンフリクトも予想され,最後に,社会的機能の可視化の重要性と具体的評価の方法として社会的バランスシートなど社会監査の議論に言及した.