2014 年 55 巻 1 号 p. 13-22
本研究の目的は,島嶼高齢者の生きがい感に及ぼす社会関連性の影響を検討することであった.琉球弧の二つの島嶼地域に居住する高齢者に配票調査を実施した,回答者のうち,生きがい感尺度と社会関連性指標のすべての項目に回答した323人(男性136人,女性187人)を分析対象者とした.生きがい感と健康状態は後期高齢者が低かった.一方,暮らし向きの評価は後期高齢者が高かった.社会関連性の合計得点は後期高齢者が低く,特に女性において年齢による低下が大きかった.重回帰分析の結果,男性では「生活の主体性」と「社会への関心」が生きがい感に影響を及ぼしていた.女性では「生活の主体性」「社会への関心」「身近な社会参加」「生活の安心感」それと「暮らし向き」が生きがい感に影響を及ぼしていた.生きがいある社会づくりには,性差を考慮しつつ,自律した生き方や社会の中で自己の位置づけを図る生き方の促進が重要であることが示唆された.