社会福祉学
Online ISSN : 2424-2608
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論文
戦前日本における精神衛生相談事業の制度化への動き――精神衛生関連団体の検討――
末田 邦子
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2016 年 57 巻 1 号 p. 1-14

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抄録

本研究の目的は,日本における精神衛生相談事業の成立過程において,戦前の精神衛生関連団体にどのような動きがあったのかを明らかにし,精神衛生相談事業に求められた機能を考察することである.研究の対象期間は,日本で初めての精神病者対策法として精神病者監護法が制定された1900年から,1945年の第二次世界大戦終戦までと定め,精神衛生関連団体発行の機関誌を中心に分析した.

本研究の結論は以下の2点である.①精神衛生相談事業に求める機能は,精神病者への「一切の相談を引き受ける」「保健指導乃至社会教育機関」機能と,「社会的動機」から発せられる優生思想を背景に,精神疾患発生の防止に向けた「予防」を重視する機能の二つがあり,前者は相談事業として,欧米の知見をもとに,一部の精神科医により数年間展開された.②精神衛生相談事業の議論の展開は,精神衛生関連団体から政策側に反映され,政策で「予防」が積極的に論じられたのみでなく,社会事業関係者も政策の「予防機能」に追従する動きを見せていた.

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© 2017 一般社団法人 日本社会福祉学会
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