2018 年 59 巻 2 号 p. 15-23
本稿は,老人福祉法の制定過程を有料老人ホームに焦点を当てて検討することで,その位置づけおよび政策的対応を明らかにすることを目的とした.老人福祉法の制定過程では,有料老人ホームの必要性が主張されたが,老人福祉施設として軽費老人ホームが創設され,社会福祉事業法の第一種社会福祉事業として取り扱われることになった.その結果,有料老人ホームは社会福祉事業の枠外に位置づけられ,規制という形で政策的対応が講じられるようになった.しかしながら,このような政策的対応は営利法人による介護サービスの提供を問題視したものではなかった.つまり,有料老人ホームは全国養老事業協会を中心とする養老施設関係者の取り組みから必要性が主張されたものであり,当初から営利法人が中核を担っていたわけではなかったのである.