社会福祉学
Online ISSN : 2424-2608
Print ISSN : 0911-0232
論文
LGBTQの子ども達へのエンパワメント視点に基づく学校ソーシャルワーク実践の必要性――養護教諭へのアンケート調査結果からの考察――
寺田 千栄子
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2019 年 59 巻 4 号 p. 67-79

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抄録

本研究は,わが国のLGBTQの児童生徒の支援において,学校ソーシャルワークにおける有効な支援のあり方を検討することを目的とする.そのために,LGBTQ児童生徒の支援において重要な役割を担っていると考えられる養護教諭を対象としたアンケート調査を行い,わが国の学校教育現場の支援状況を分析した.その結果,学校教育現場にはスティグマをはじめとした子ども達を抑圧する構造が存在し,これらがパワーの減退につながっていることを示した.また学校教育現場の課題として,①早期支援が行われていない,②学校教育現場は当事者にとって相談しやすい環境にない,③養護教諭は学校全体への働きかけを積極的にできていないことを明らかとした.ソーシャルワークの専門的価値基盤である人権,社会正義,多様性の尊重の観点から学校ソーシャルワーク実践が必要であり,とりわけパワーの減退についてはエンパワメント理論の導入が有効であると考えられる.

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© 2019 一般社団法人 日本社会福祉学会
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