2019 年 60 巻 2 号 p. 37-52
本研究は,ピアスタッフのスーパービジョンに着目した.精神保健福祉領域で働くピアスタッフのスーパービジョンの現状と課題を明らかにする目的で,スーパーバイザーであるピアスタッフと事業所スタッフ,計19名に半構造化面接を行い,Krippendorffの内容分析の手法をもとに分析を行った.結果,スーパーバイザーは,ピアスタッフのさまざまな有効性を認めていた.またピアスタッフのスーパービジョンでは,対等性,互いの立場の尊重,互恵性といったピアサポートの関係性が重視されていることが明らかになった.ピアスタッフと事業所スタッフそれぞれが行うスーパービジョンの比較において,この特徴はピアスタッフの場合に顕著に示された.また,ピアスタッフの専門性が確立途上のなか,スーパービジョンはさまざまな捉え方をされていることが分析のなかで明らかになった.今後,ピアスタッフの特性に留意したスーパービジョン体制の整備を進めることが必要である.