2021 年 23 巻 2 号 p. 143-152
目的:慶應義塾大学ラグビー部におけるスポーツ外傷・障害・疾患の実態を記述疫学的に明らかにすること。
方法:対象は,2011年4月から2018年12月の期間中に慶應義塾大学ラグビー部に在籍した選手368人とした。期間中に発生した練習・試合から離脱しなければならなかったスポーツ外傷・障害・疾患について,練習日・試合あたりの発生件数,診療科別・疾患分類別発生件数,離脱期間および重症度別発生件数について分析した。なお,診療科別・疾患分類別発生件数では,整形外科,脳神経外科疾患について部位別,発生月別,発生状況別,内科疾患については発生年別,月別に分析した。
結果:スポーツ外傷・障害・疾患の発生件数は,8年間の選手1人あたり全体1.67件/人,整形外科1.07件/人,内科0.25件/人,脳神経外科(すべて脳振盪)0.24件/人であった。1練習日あたりの発生件数は0.41件/日,1試合あたりの発生件数は1.18件/試合であった。整形外科疾患は部位では下肢が45%,疾患分類では靱帯損傷が46%と発生割合が高く,内科疾患では感冒40%と胃腸炎35%の発生割合が高く,季節性と年ごとの流行が観察された。
結論:整形外科疾患は下肢の靱帯損傷,内科疾患は感冒,胃腸炎が多く,脳神経外科疾患は全例脳振盪であった。プレー時間の確保のためには,これらの現状を踏まえた予防策を講じる必要がある。