社会福祉学
Online ISSN : 2424-2608
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論文
緩和ケア・終末期医療における医療ソーシャルワーカーの役割の必要性――患者への質問紙調査の因子分析結果――
上白木 悦子
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2021 年 62 巻 1 号 p. 14-26

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抄録

本研究では,緩和ケア・終末期医療の医療ソーシャルワーカー(MSW)の役割に対して,患者による必要性の観点から役割の内実を明らかにすることを目的とする.がん治療中の患者を対象に質問紙調査を行った(188名/回収率77.7%).このうちMSWへの相談経験のない患者群につき因子分析を行った.結果として5因子に収束し,患者に対する支援計画の策定,意思の確認ができない患者の医療方針の決定に関わる支援,患者の気持ちを医療従事者へ伝達,多職種との情報共有,患者や家族等への精神的支援と命名した.モデル適合度はGFI 0.981, AGFI 0.976であり妥当な水準と評価した.患者が必要と考える,緩和ケア・終末期医療のMSWの役割は5因子構造であった.本研究が明らかとした役割を担うことによりMSWは,人生の最期の生と死に向き合う患者と家族等への支援を行うことの重要性が示唆された.

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© 2021 一般社団法人 日本社会福祉学会
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