2023 年 64 巻 2 号 p. 27-40
本稿の目的は,東日本大震災による住家全壊被災者のスピリチュアルペインの経験とプロセスを明らかにすることである.当事者の語りの内容を社会構成主義的GTAで分析した.住家全壊被災者は,自分の居場所,想い出の場を失う【住家・地元ロス】を一様に抱く.そこから【犠牲者の死の重圧】の中,【他者との不安定な関係】また【自責感からの死の後追い】に迫られ【内に秘めた不条理】に直面していく.これらが解釈性・知覚性・関係性の欠如による存在意義の喪失,つまりスピリチュアルペインの経験として明示された.さらに,①故人の存在がもたらす生きる意義,②利他の絆が与える生きる希望,③地元と自分のオーバーラップ,という三つのプロセスが明らかとなった.考察では,1)犠牲者の存在,2)自己成長を誘う実存的気づき,3)地元への特別な意味とイメージ,4)言葉にならない想い,に配慮する災害時ソーシャルワーク実践の課題が示された.