社会福祉学
Online ISSN : 2424-2608
Print ISSN : 0911-0232
論文
ピアサポート活動で用いる当事者の知と制度的援助専門職者の知の共同(協働)的運用をめぐって――専門性をひらく省察的実践――
黒田 文
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2024 年 64 巻 4 号 p. 30-41

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抄録

本稿の目的は当事者の知と制度的援助専門職者の「専門知」との運用を考察することである.わが国の一部のサービスでピアサポートが報酬加算対象となったことから,制度的援助専門職者にはピアサポートの土台となる当事者の知を理解してともに支援にあたることが求められる.当事者の知と「専門知」は双方が知であるものの,完全には同じ知ではないなら,双方の関係性を検討して建設的に運用される必要がある.本稿では,生きられた経験と当事者の知の潮流の観点から当事者の知を理解する一方,技術的合理性や省察的実践という観点から「専門知」を捉えた.制度的援助専門職者が専門性を開き,当事者を中心としたサービスを提供するには,当事者の知と「専門知」の運用を活性化する対話にもとづき,“実践の中の知”を蓄積する必要がある.双方の知の共同(協働)的運用には制度援助専門職者が知/パワーに自覚的になり,当事者の知vs「専門知」の二項対立に陥らない態度が求められる.

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© 2024 一般社団法人 日本社会福祉学会
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