抄録
当センターは,小児病棟410床と妊婦を主とした成人病棟50床からなる計460床のナショナルセンターである。小児においては,一般的な外傷だけでなく,医療行為に伴って発生する創傷に特有の傾向があり,その対策にも小児特有の問題点が存在する。当センターで報告のあった2003年度から2007年度までの創傷について,年度ごとに年齢・部位・原因・深達度別に統計を取り検討した。結果,年度平均の創傷発生件数は361件であった。創傷発生の原因は,点滴もれや粘着テープによる皮膚トラブルが多く,褥瘡は,新生児から学童期までは頭部に発生し,年齢の増加に伴って仙骨部の発生が増加する傾向にあった。つまり,小児の創傷では,小児皮膚の脆弱性を考慮したスキンケアが必要であり,褥瘡は,成長に伴う荷重分布の変化が発生部位に影響を及ぼしていると考えられた。