SubzoneⅡ指尖部完全切断指に動脈再建のみ行い,静脈縫合とPin-prickを含めた瀉血処置を一切行わなかった再接着術の治療成績を後ろ向きに検討した。対象は男性8例,女性4例の12例で,平均年齢は55歳(23~74歳)であった。12例中11例が生着した。生着した症例は,指尖部は術後3日程度までは暗赤色-赤色になっていたが,その後は自然に改善し,術後1週間程度でピンク色に戻っていた。瀉血は適宜行うが静脈縫合を行わなかったSubzoneⅡの指尖部完全切断指に対する再接着の生着率は,62%~88%と報告されている。本検討の結果はこれらの報告と比べて劣ることはなく,SubzoneⅡの指尖部完全切断指は動脈再建を行うだけで静脈再建やPin-prickを含めた瀉血操作を一切行わなくても,静脈再建した場合と同等の生着率が得られる可能性が示唆された。