創傷
Online ISSN : 1884-880X
ISSN-L : 1884-880X
特集2:下肢~足切断術の新しいアプローチ
趾切断時における fillet toe flap の利用
榊原 俊介寺師 浩人櫻井 沙由理橋川 和信田原 真也
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2012 年 3 巻 3 号 p. 123-128

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抄録
足趾潰瘍や腫瘍が MTP 関節レベルまで及ぶ例では, 切除断端の被覆のために中足骨近位での切断を要する場合や, 肉芽の増生を待ったのちに二期的に植皮を要する場合がある。しかし足部切断例においては切断レベルが術後の ADL を左右し, また術後の長期安静期間は廃用性障害につながるため, 早期の創治癒が求められる。そこで, われわれは足趾切断時に切除が足趾の半側までに留まる場合では趾動脈を血管茎とする fillet toe flap を作成し, 可及的に骨を温存し, 一期的に創を閉鎖している。今回, 強皮症および PAD による虚血性潰瘍と悪性腫瘍切除後の欠損に対して本法を施行し良好な結果を得た。足趾の片側に潰瘍が留まるのは限られたケースではあるが, fillet flap として残存組織を利用するにあたり, なんら犠牲を伴わないばかりか, 知覚皮弁としても利用できるうえ, 切断レベルを最小にし, すみやかな創治癒を期待できることから, 一考に値するとわれわれは考える。
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© 2012 一般社団法人 日本創傷外科学会
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