2014 年 5 巻 3 号 p. 124-131
乳房インプラントを用いた整容性の高い乳房再建を達成するためには,エキスパンダーを用いる際に組織拡張という目的に加え,対称な位置に,適切な大きさの,インプラントを入れるための cavity を作ることも必要となる。本稿では,乳房全摘後のエキスパンダーおよびインプラントを用いた乳房再建症例について述べる。正確に作られた cavity はインプラントへの入れ替えを行う際に基本的には剥離操作を行う必要がなく,血腫がおもな原因のカプセル拘縮や,インプラントの移動が原因の術後のインプラント位置異常を防ぐことができる。また,エキスパンダーの拡張を正確に行えば,特別な器具や装置を用いずとも,適切なインプラントの選択も可能である。インプラント選択時に,乳房の左右差を引き起こさないためには,エキスパンダー本体にも 60ml 以上の体積が存在することに留意し,インプラントを選択することも重要である。