創傷
Online ISSN : 1884-880X
ISSN-L : 1884-880X
原著
重症下肢虚血における末梢血行再建術の選択
-形成外科の立場から-
辻 依子長谷川 弘毅倉本 康世寺師 浩人北野 育郎辻 義彦杉本 孝司
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2014 年 5 巻 3 号 p. 132-136

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抄録

 重症下肢虚血 ( critical limb ischemia,以下CLI ) の治療には創傷管理だけでなく,末梢血行再建術が必須である。末梢血行再建術は主として血管内治療 ( endovascular therapy,以下EVT ) と外科的バイパス術があるが,それぞれにメリット,デメリットがあり,末梢血行再建術の選択はいまだ議論が分かれる。創傷管理を行う形成外科の立場から,足潰瘍の状態によって末梢血行再建術の選択が可能か検討した。足潰瘍の範囲が MTP 関節をこえず足趾にとどまる程度の小範囲の潰瘍でかつ,感染を認めない CLI であれば,大切断率は EVT,バイパス術で有意差を認めなかったため,EVT を first choice とする。ただし EVT では再狭窄率が高く,治療期間が長くなった。一方で,足潰瘍が MTP 関節をこえる大範囲の潰瘍,あるいは踵部に潰瘍がある場合や感染を伴う CLI では大切断率が EVT で高くなるため,バイパス術を first choice とすべきである。

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© 2014 一般社団法人 日本創傷外科学会
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