創傷
Online ISSN : 1884-880X
ISSN-L : 1884-880X
特集2 : エキスパンダー: 私の工夫とコツ
当院におけるエキスパンダーの合併症と対応策
鳥山 和宏八木 俊路朗蛯沢 克己高成 啓介澤村 尚神戸 未来亀井 譲
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 5 巻 4 号 p. 166-174

詳細
抄録

 エキスパンダーは腫瘍や瘢痕拘縮に隣接する皮膚を拡張して,その切除後の欠損を被覆する整容的に優れた術式である。今回 2006 年 4 月から 2013 年 3 月までに,当院にてエキスパンダーを使用した 39 患者に対して,使用部位,原疾患,再建方法,合併症について調査検討したので報告する。
 対象患者は 39 例で,平均年齢は 32 歳であった。挿入した部位は,胸部 15 例,頭部 7 例,背部 4 例などであった。原疾患は乳癌・乳房低形成 14 例,瘢痕拘縮 12 例,巨大色素性母斑 7 例などであった。
 手術回数 49 回中 12 回で合併症を認め,露出 5 例,感染 2 例,リザーバーの固定不良 2 例,リザーバーの破損 1 例などであった。
 われわれは,これらの治療経験から①エキスパンダーの露出に対しては,健常皮膚に皮膚切開を置いてエキスパンダーの皮下ポケットを 1 ~ 2 cm 大きく剥離し,ゆっくりと伸展させる,②巨大色素性母斑では,母斑内に別の皮膚切開を入れてリザーバーを確実に固定する,などの対策を行っている。

著者関連情報
© 2014 一般社団法人 日本創傷外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top