創傷
Online ISSN : 1884-880X
ISSN-L : 1884-880X
特集1:形成外科手技をいかに創傷治癒に活用するか?
植皮術の適応拡大と限界~ NPWT,bFGF との併用について~
川上 善久大山 拓人高木 誠司大慈弥 裕之
著者情報
ジャーナル フリー
電子付録

2016 年 7 巻 2 号 p. 55-64

詳細
抄録
 植皮術は比較的簡便に,さまざまな創を閉創することが可能な優れた手術である。近年,陰圧閉鎖療法 ( NPWT ),塩基性線維芽細胞増殖因子 ( bFGF ) といった新しい創傷治癒を促進させる機器や薬剤が開発されており,従来の適応をこえて植皮術を安全に行うことが可能となった。それらの有用性を確認する目的で,当科における 214 例の植皮術について検討した。術前に NPWT や bFGF を使用したかどうか,また,植皮片の固定に NPWT を使用したかどうかにつき,植皮の生着率を比較した。術前の wound bed preparation については,NPWT と bFGF を併用した群において有意に植皮の生着率が高かった。また,植皮片の固定を NPWT で行った群は,それ以外の群に比較して植皮の生着率が有意に高かった。しかし,NPWT や bFGF は創傷を万能に治癒させる機器・薬剤ではないため,適応を正確に判断することが重要である。
著者関連情報
© 2016 一般社団法人 日本創傷外科学会
次の記事
feedback
Top