抄録
足背部における皮弁採取部に人工真皮を貼付後,二期的に分層植皮を行った 7 名 8 例の合併症について調査した。皮弁採取から植皮までの期間は平均 36.25 日,疼痛,不快感,晩期潰瘍形成を生じた症例を 1 例認めた。これまでの報告では,足背部から皮弁採取すると,植皮後も疼痛や潰瘍形成などの合併症が生じやすいとされている。ただし,これらの多くは一期的に分層植皮をされているか,二期的に分層植皮を行っていても植皮までの待機期間が 2 ~ 3 週間であり,われわれの症例よりも短い。自験例で合併症を生じた 1 例は,植皮までの待機日数が 8 例中最も短く,他の 7 症例に比べて植皮時の肉芽形成が不十分であった可能性が高い。一方,待機期間を長くとった症例は合併症を生じていないため,足背の皮弁採取部は人工真皮を貼付し,時間を要しても厚い肉芽で覆われるまで局所処置を継続してから二期的に分層植皮を行うことで,合併症を最小限にできると考えられた。