移植
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腎移植における多職種連携
加来 啓三岡部 安博佐藤 優久留 裕目井 孝典野口 浩司中村 雅史
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2020 年 55 巻 Supplement 号 p. 115_1

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抄録

 腎移植は院内外含めた多職種との連携のもと成り立つ高度医療である。単に移植手術の成否にとどまらず、術前から術後長期にわたり多方面からのサポートを必要とする。今回、一連の腎移植に携わるすべてのスタッフへ敬意を表すとともに、当院におけるその活躍を紹介する。 近隣の透析病院、腎臓内科からの継続的な紹介なくしては、当院年間80-90例の腎移植は達成できない。専属コーディネーター、メディカルアシスタントによる患者家族との面談から腎移植医療はスタートする。ドナー、レシピエントそれぞれの術前の適応判断にあたっては、外科、内科、麻酔科含めた複数科の総合判断で行う。より安全かつ公正な移植を実現させるため、全予定腎移植症例を対象に外部委員を含めた院内委員会での討議を経る。脳死移植時の緊急対応の際も、手術部、麻酔科の協力により速やかな移植が可能であり、複数移植の同時実施に対しても最大限の理解、サポートが得られている。当然、薬剤師、臨床検査技師、管理栄養士の協力も必要であり、退院後の支援にはMSW、医療事務スタッフの存在も大きい。当院での累積腎移植症例も1100例を超え、その成績も安定してきた。多種多方面の連携を必要とする腎移植医療をより体制化するため、当院では腎移植クリティカルパスの導入を進めており近く運用開始予定である。多職種連携の更なるステップに寄与することを願う。

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