移植
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臓器移植における多職種連携/チーム医療 De-novo悪性腫瘍
宮崎 拓郎辻 あゆみ永安 武
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2020 年 55 巻 Supplement 号 p. 118_1

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抄録

周術期管理の向上、免疫抑制剤の発達や適切なTDM管理等により、レシピエントの生存率も向上しつつある。その一方de novo悪性腫瘍はレシピエント死因の約10%を占めるとされ、長期生存を阻害する1つの要因となっている。本邦のde novo悪性腫瘍について日本移植学会学術委員会主導のもと現状調査が行われた(Miyazaki et al , Surg Today 2018 )。2001年から2010年に施行された臓器移植9210例中、479例(5.2%)にde novo悪性腫瘍が発生し、頻度順にPTLD(18.2%)、腎細胞癌(9.0%)、胃癌(8.6%)、大腸癌(8.6%)、肺癌(7.5%)であった。De novo悪性腫瘍であっても、がん治療の原則は早期発見、早期診断、早期治療であることは言うまでもない。そのためには適切ながん検診、スクリーニングが必要であり、その費用対効果の検証も重要であろう。レシピエントはいわゆる「がん世代」より若年であることが多く、自治体健診等の対象にならない可能性もある。レシピエントをフォローするにあたりde novo悪性腫瘍を常に念頭に置いた診療が必要で、移植を乗り越えたレシピエントにとって、また「新たながん」との闘いに対する精神的ケアも、主治医だけでなく、薬剤師、移植コーディネーター、かかりつけ医等の多職種が連携して行うことが大変重要となる。

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