2020 年 55 巻 Supplement 号 p. 121_1
日本で臓器移植法が施行されて20年以上が経過した。当初年間数件にとどまっていた脳死ドナーからの心臓移植件数は、2010年の臓器移植法改正後増加傾向となり、2019年には我が国全体で84件もの心臓移植手術が施行された。大阪大学においても1999年の法施行後初の心臓移植術からこれまでに130例を超える心臓・心肺移植を経験してきた。当院では心臓移植が再開された初期は心臓血管外科医が主体となって移植医療に携わってきた経緯があるが、近年は心臓移植前の適応評価や移植待機期間中の内科的治療はもちろんのこと、重症心不全患者の紹介があった場合の循環器内科・心臓外科医師による往診、入院中の重症心不全患者に対する集学的治療の検討、移植待機期間中の補助人工心臓の管理や心臓移植術後の拒絶反応・移植心冠動脈病変に関する定期検査や免疫抑制剤の調整など、レシピエントの術前術後を通じて循環器内科医師が心臓血管外科医師と連携をとって診療している。またわが国の移植医療においてはドナーの評価および管理にメディカルコンサルタントが重要な役割を果たしているが、このメディカルコンサルタントにも多数の循環器内科医が参画している。心臓移植医療における内科医の連携について、考察する。