移植
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日本で、世界で、心停止後臓器提供はどのように行われているか
吉川 美喜子
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2020 年 55 巻 Supplement 号 p. 216_2

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抄録

【背景】欧米諸国など移植先進国は脳死ドナーからの臓器提供を主軸として移植医療が発展してきた。各国で脳死ドナー数を最大限にする試みを行ってきたが近年その数は頭打ちとなり,生体から,そして心停止後のドナー(DCD)からの臓器提供数増加に向けて体制が整えられている。一方日本は臓器移植法後、生体と脳死ドナーからの臓器移植に転換し,DCD数は減少している。【心停止後臓器提供の現状】心停止後の臓器提供はcontrolled DCD(cDCD)とuncontrolled DCD (uDCD)の2群に大別される。すなわち患者・家族の意思で生命維持装置中止後の臓器提供と,予期せぬ心肺停止で蘇生不可能と判断後の臓器提供である。これらDCDからの臓器提供は特に欧州で飛躍的に増加している。一方我が国のDCDは、脳死だが何等かの理由で心停止を待機し臓器提供となる場合が主であるが、本邦の脳死下臓器提供は脳死をcueとして生命維持装置中止を行うcDCDの延長線上である。では世界各国でDCDをどのように整備しているか。それは終末期医療の整備に他ならならず、生命維持が困難となった患者の最期との関わりが臓器提供のカギとなる。【まとめ】患者の最善の最期・死後にむけて支援を行うことで、日本の臓器提供現場の変化が期待される。海外事例を踏まえ、今後のわが国の在り方について検討する。

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