移植
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心停止下臓器提供増加へ向けたレスピレーターオフに関する一考
伊藤 泰平剣持 敬栗原 啓會田 直弘松島 肇
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2020 年 55 巻 Supplement 号 p. 217_1

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抄録

2010年の改正臓器移植法施行後より、脳死下臓器提供が増加したが心停止下臓器提供は減少し、結果、献腎移植件数は横ばいである。深刻な日本の臓器提供不足の現状を鑑み、心停止下臓器提供を増やすことは重要な課題の一つである。心停止ドナーを増やすことは以前より各地域における啓蒙活動が行われており、その活動は脳死下臓器提供の増加へもつながっていると考えらる。しかし、これらの活動が奏功し心停止ドナーが増えた時、我々移植医が対応可能であるかは疑問が残る。外科医の減少や脳死下臓器提供の増加により、数日間の待機を要する心停止下臓器提供への対応はさらに困難となっている。また、時間的には脳死下臓器提供よりさらにシビアな対応を迫られる心停止下臓器採取手技の次世代への継承も今後の大きな課題である。一方、一部の海外では肝や肺などの腎以外の心停止臓器提供が盛んに検討されている。しかし、これは日本の状況とは大きく異なり、レスピレーターオフが大前提である。以上から、心停止下臓器提供増加に向けて本邦でもレスピレーターオフの導入が検討される必要があると考える。日本救急医学会、日本集中治療医学会、日本循環器学会からは3学会合同の終末期医療に関するガイドラインが出されており、その中にレスピレーターオフについても言及されている。本邦におけるレスピレーターオフに関する現状、課題、今後について論じたい。

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