2020 年 55 巻 Supplement 号 p. 340_3
【背景】我々はこれまでに脂肪由来幹細胞(ADSC)からインスリン産生細胞(IPC)への分化誘導に着手しているが、今回臨床応用に向けてIPCの凍結保存方法について検討した。【方法】ADSCから我々の開発した3D、two-step protocolを用いて分化誘導したIPC(3.2×105個)を、-80℃で速やかに凍結(-80℃群)、BICELLに入れ-80℃まで徐々に凍結(BICELL群)、卵子の保存法で凍結(CRYOTOP群)の3群の方法で凍結保存した。Dithizone染色、cell viability、免疫染色、グルコース応答性について凍結していないIPCと比較検討した。【結果】凍結保存後、細胞形態はやや崩れDithizone染色強度はすべての群で有意に低下した(P<0.05)。cell viabilityはすべての群で有意に低下した(P<0.01)。蛍光免疫染色では、すべての群でインスリン染色陽性領域の減少を認め、-80℃群とCRYOTOP群では細胞がまばらに減少していたのに対し、BICELL群では主に中央部分が減少していた。免疫染色では、すべての群で抗caspase-3抗体に対して陽性であった。グルコース刺激後のインスリン分泌はすべての群において有意に減少した(P <0.01)。【結語】IPCは非常にfragileで適切な保存方法の確立が必要である。