移植
Online ISSN : 2188-0034
Print ISSN : 0578-7947
ISSN-L : 0578-7947
腎移植後のマムシ咬傷の1例
安藤 忠助中島 駿佑鈴木 駿太郎藤浪 弘行山中 直行佐藤 吉泰篠原 麻由香溝口 晋輔佐藤 竜太甲斐 友喜羽田 真郎澁谷 忠正秦 聡孝
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 55 巻 Supplement 号 p. 374_3

詳細
抄録

症例は66歳、男性。3年4か月前に妻をドナーとする血液型適合生体腎移植術を受け、sCr1.5mg/dl程度で安定していた。真夏の草刈り時に、右示指にチクッとした痛みを感じ、マムシを目視した。すぐに近医を受診し、マムシ咬傷の診断で入院となり補液、セファゾリン、セファランチンの投与で経過を診ていた。咬傷後3日目にマムシ咬傷による腫脹と発赤が右肩関節を超えて体幹まで及び、肝酵素およびCKの上昇と複視を認めたためマムシ咬傷gradeⅤの判断となり、移植施設である当院へドクターヘリ搬送された。すぐに乾燥まむしウマ抗毒素の皮内試験を行ったが陽性であったため投与を見送り、十分な補液のみで対応した。その後、DIC、各種臓器障害を認めず、腫脹や複視も改善したため、当院入院後10日目にsCr1.7mg/dlで自宅退院となった。考察:マムシ咬傷自体は地方では珍しくなく、死亡率も高くない。腎移植後の患者においても一般的な対処と同様で腎不全予防を主とした早期からの全身管理が重要である。

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top