移植
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組織移植コーディネーターの教育体制の取り組み
青木 大田中 秀治小川 由季佐々木 千秋西迫 宗大明石 優美副島 一孝佐々木 淳一
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2021 年 56 巻 Supplement 号 p. s2

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抄録

昨今、組織提供数は減少傾向にあり、さらに新型コロナウイルス感染症蔓延で危機的状況に直面している。要因の1つは、実際に現場で従事するコーディネーターや出動する組織バンクの体制が、主にマンパワーの問題で活動エリア制限されているのが現状である。今後、各地で活躍するコーディネーター間での業務乗入れにより活動範囲の拡大が期待される。

現在コロナ禍により、対面式病院開発、研修が実施不可能となっているが、この状況を活用しデジタルデバイスを使用した教育システムの導入を①日本スキンバンクネットワーク(JSBN)を中心とした3バンク間での「web研修」、②遠隔地を結ぶ研修体制の構築、③JSBNによる「スキンバンクチャンネル」の開設、として考案した。

Web研修では、主にロールプレイを中心としたプログラムに構成し実施したが、各分野のSpecialistが特性を生かすことにより、コーディネーターにとって欠かせない知識取得には効果的であり、継続的な研修、現場実践を行う事で、信頼感が生まれ、相互乗り入れが可能となると思われた。

「遠隔地からの研修体制の構築」ではVRを用いたICコンテンツ作成により、対面研修により近い実施が可能となるほか、コーディネーターの目線の動きや、家族の表情など、より詳細に観察でき、また、自分の映像を振り返ることにより、自身の態度、言葉、目線など、今までにはない多角的な振り返りが可能となった。

さらに、スキンバンクチャンネルによる支援では、いつでも自分が必要とする情報や映像にアクセスする事が可能となっており、自己学習はもちろん、実際の現場出動時に、寸暇でもアクセス可能となり、現場対応の負担軽減につながると示唆された。

本研究は厚生労働科学研究費補助金(移植医療基盤整備研究事業)分担研究「組織提供に際しての選択肢提示に関する諸問題に関する研究」の一環として実施した。

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