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スペインDTI-TPM教育受講者の院内ドナーコーディネーター育成者としての活躍への期待
小川 直子吉川 美喜子尾迫 貴章渥美 生弘
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2021 年 56 巻 Supplement 号 p. s28

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抄録

世界で最も多い死後臓器提供者数を誇るスペインで効果的なDTI-TPM教育(集中治療領域の医療スタッフに対する臓器提供の教育)を受けた日本人は多いが、TPM教育受講者が学んだ内容を実践するためのシステムがなく、TPM教育受講者がいる地域においても臓器提供数が増えない現状が続いている。TPM教育受講者がTPM教育を模したワークショップを開催し始めているものの、一部での地域のみという限定した状況となっている。

日本では、スペインのTPMの役割に該当する院内ドナーコーディネーター(以下、院内Co)が2,000名以上設置されているといわれているが、それら院内Coが活かされていない現状がある。今後は適切な臓器提供の適応判断等が行えるような育成が必要である。それが行われることにより、臓器提供のプロセスへの負担軽減につながると考えられる。

TPM受講者と都道府県コーディネーター(以下、都道府県Co)が連携を図り、世界共通の教育システムを用いて、日本に適した院内Coの教育環境整備を早急に行うことが必要である。TPM教育受講者の院内Co育成者としての活躍を期待する。

しかしながら、都道府県Coは雇用形態や給与形態などの待遇が都道府県によりさまざまであり、統一した活動を行うことは難しい現状がある。日本に適した院内Coの教育環境整備を行っていくためには、地域の事情を把握できている都道府県Coが必要不可欠であり、待遇等の見直しも必要であると考える。

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