移植
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ドナーコーディネーターにおける医療メディエーションスキルの重要性
纐纈 一枝谷口 未佳子加藤 櫻子渡邊 美佳剱持 敬星長 清隆
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2021 年 56 巻 Supplement 号 p. s29

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抄録

【はじめに】当院は脳死下臓器提供13件、心停止下臓器提供248件、臓器移植も646件行われ臓器提供、臓器移植を積極的に行っている。今年度より肺移植、膵島移植の施設認定を受けている。院内コーディネーターの役割は、臓器提供の普及啓発や臓器提供意思確認から、移植に至るまでのあっせん業務であり、家族対応に加えて医療者との調整業務も重要である。提供に至る過程で、医療者及び家族との調整に難渋するケースは少なくない。今回、ドナーコーディネーションにおける医療メディエーター導入につき検討した。

【方法】当院では院内コーディネーターを含む医療メディエーターチームを組織し、院内勉強会に加えて、医療メディエーターの外部講師による講演会を開催した。臓器提供の現場において、医療メディエーターが必要と考えたが、院内コーディネーターが医療メディエーションスキルを獲得することで、患者・家族に寄り添い支援し、医療現場におけるコンフリクトや葛藤を緩和し、より良い医療とケアを提供できると考えられた。

【まとめ】臓器提供の現場は,急に死を迎えることで医療者と家族にコンフリクトや葛藤が起きやすい。またJOT、都道府県コーディネーター、摘出チームなど外部の多職種が集まるため、院内コーディネーターは医療メディエーションスキルを獲得し、医療者と患者の中立的対話を促し、患者家族に寄り添う支援を行うことがこれからの移植医療に必要とされると考える。

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